THE COACH Meetに登録する長井 雅史(ながい まさふみ)コーチは、大学院で「対話」をテーマに研究しつつ、コーチングスクールに通い、在学中からコーチとして活動。卒業後も個人事業主としてコーチを続けています。2022年現在でコーチ歴は6年、累計クライアント数100人以上、総セッション時間は800時間を超える、経験豊かなコーチです。
長井さんはどのようにコーチングと出会い、なぜ最初の仕事としてコーチを選んだのでしょうか?この記事では、長井さんに「コーチになるまでの人生」をお話いただきました。
話をちゃんと聞いてくれる人がいるだけで、湧いてくるエネルギーが変わった
僕が最初にコーチングに出会ったのは、高校のとき。実際にコーチングを受けたわけではないのですが、コーチング的なコミュニケーションの根幹である「話をちゃんと聞いてもらえる」という体験をしたんです。
当時、僕は受験シーズンの真っ只中で。受験期の始めは数学が好きだったこともあって、なんとなく理系の大学を受験しようとしていました。それでしばらく勉強を続けていたのですが、進めるなかで「自分がやりたいことは理系ではないな」と気づいて文転したんです。その時点で季節は高校3年生の夏。受験本番まで時間もなく、周りからは反対されていました。ですが、塾の先生は僕の話を聞いてくれて、変わらず信じてくれて、文転したいという僕の意思を尊重してくれました。そういう人が周りにいるだけで、自分から湧いてくるエネルギーが如実に変わったのを感じたんですよね。モチベーションを保って努力を続けられたのは、その先生の存在も大きかったと思うんです。
まなざし1つでコミュニケーションは変わる
そうして進学した大学で、今度は明確にコーチングと出会います。僕はそのころゼミ活動の一環で、高校生を対象に「自分らしさについて考える」というワークショップを提供していました。そのワークショップをはじめたのは、自分のやりたいことに気づかず、なんとなく理系を選んでしまっていた自分の経験から。「自分はどんな人間で、自分の人生にどんな体験を求めているか」を考えて大学を選んだほうが、納得感を持って人生を進められると思ったからです。
あるとき「大人と高校生が対話する」というワークショップを開催したんです。いろんな職業のいろんな属性の大人を呼んで高校生と話してもらったのですが、そこにコーチングをしている、いわゆるコーチも来ていて。話すうちに仲良くなって、後日コーチングを受けてみました。でも、そのときは新たな気づきはなく「コーチングを受けても、自分で分かっていることしか出てこないな」と感じていました。
コーチングへの印象が変わったのは、インターン先でのこと。当時、僕は人材育成/組織開発のベンチャーにいたのですが、そこでは代表と定期的に面談する機会があって。代表はコーチングを学んでいる方でしたが、何か特別な問いを投げかけてきたり、アドバイスをくれたりしたというわけではなく。ただ「僕の中に答えはある」と信じているのを感じるコミュニケーションをしてくれたんです。まなざしからそういった信頼を感じるだけで、自分の中からするする言葉がでてきたのが印象的でした。
相手のまなざしひとつ、聞き方ひとつで、自分の開き方が変わって、結果的に気づきが生まれ、自分が持つエネルギーや可能性すら変わるんだなと感じました。そのとき「あぁ、これがコーチングの持つ力なんだ」と思ったんですよね。
大学院で「対話」を研究しながら、コーチングスクールに通う
コーチングに魅力を感じはじめたのは、ちょうど大学院に行くことを決めたタイミングでした。大学院では「対話」を研究しようと思っていて。自分の意見だけを主張するのではなく、相手の意見だけに染まるのではなく、その両方を場に出して対等に話し合っていくという対話というコミュニケーションを深めていきたいと思っていたんです。
ただ同時に、塾やインターン先での経験が忘れられず、コーチングも学びたいと思いました。それで、大学院で「対話を実践するための方法」を研究し共著で本を出したりしながら、コーチングスクールにも通い、在学中からコーチの活動をはじめました。コーチングを続けるうちに「これを生涯の仕事にできたら幸せだろうな」と感じて、卒業後もコーチとして活動しています。
コーチングの価値
僕が思うコーチングの魅力は、会社員として、マネージャーとして、母として子としてという社会的な立場や役割を置いて、純粋に「自分」という存在に目を向けられること。自分の特性や性質、大事にしている価値観や想い、達したい場所など、自分が大切にしたい部分に光を当て、気づき直せることがコーチングの価値だと感じています。
日常だとそれが難しい感じがするんです。社会的に求められる役割に基づいた思考が生活の中心に来てしまうから。誰かと一緒にいるなかで相手や環境に同調してしまいがちで、それは悪いことではないけど、ずっと続けていると「自分ってなんだっけ」が分からなくなってしまいます。
純粋に一人の人としての自分という存在に光が当たる機会や、ただただ自分で在れる状態は現代において日常ではないと思うんです。だからこそ、コーチングの場でそこに立ち返れることに意味があると思います。
なので、僕がコーチングで意識しているのは、あなただからこその性質ってなんだろう、あなただからこその感性ってなんだろう、あなただからこそ生み出せる世界ってなんだろうという事柄を一緒に見ていくこと。もし役割が決まっていたとしても、世界に何一つ同じ存在はないという前提にたって、あなたという存在だからこそ歩める人生、できること、作っていける未来を一緒に考えていければと思っています。
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