2022年10月1日、株式会社THE COACHは、代表取締役の交代と新取締役の就任を決定しました。2020年のTHE COACH立上げより組織・サービスを牽引した代表取締役・こばかなが退任し、旧取締役の岡田 裕介(おかだ ゆうすけ)、松浦 瞳(まつうら ひとみ)が共同代表に、新たに吉村 創一朗(よしむら そういちろう)が取締役になり、サービスを運営していきます。
このnoteでは、THE COACHを応援してくれる皆さまに、代表交代の背景とこれからのTHE COACHについて対談形式でお知らせさせてください。
▼プレスリリースはこちらから
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000069031.html
<新経営メンバー>
・岡田 裕介(共同代表・代表取締役・写真左)
・松浦 瞳(共同代表・代表取締役・写真左から二番目)
・吉村 創一朗(取締役・写真右)
代表交代で、自分より想いの強いメンバーにバトンを渡す
——早速ですが、代表交代の背景を教えてください。
こばかな:実はわたしの退任については「こういう理由で代表を退任します!」という決定的なものがあるわけではなく、総合的に判断して決断に至った、という形です。
ただ、あえて理由をひとつ挙げるとするなら、THE COACH ICP・THE COACH Meet以外に「これをやるべきだ!」という事柄が決められなかったことがあります。創業時は事業を運営しながら新たなやりたいことが浮かんでくるだろうと思っていたのですが、それが出てこなかった、という感じですね。
退任を決める少し前に、この4人で合宿をした日がありました。THE COACHの未来にはいろいろな可能性があって、取捨選択をしなければならなかったのですが、わたしのなかには「必ずこれをやりたい」という強い気持ちがありませんでした。でも、おかちゃん(岡田)、ひとみん(松浦)、そちゃん(吉村)からはたくさんの「THE COACHを通じて社会に届けたい価値」が出てきたんですよね。わたしのなかには皆の想いを超える何かはないのかもと思い始め、代表退任を考えるようになりました。
それから半年ほど、わたしがこの会社にいる意味、THE COACHで描きたい未来……いろんなことをふたり(岡田・松浦)と何度も対話して、「やっぱり旗振り役は二人に任せたい」と思えるようになったため、今回の決断に至りました。
岡田:これまでにも「こばかながTHE COACHにいる意味」という話を何度も対話してきましたが、僕は「こばかながいる意味」以上に、「こばかながTHE COACHを作った意味」というのを今すごく感じているんですよね。
特に印象的なのは、こばかなが僕をTHE COACHに誘ってくれたときから言い続けている「多様なあり方を応援したい」っていう言葉。それがシンボリックな存在として自分の中にあり続けています。
究極的には、僕が開発して事業を作り出しているとは思っていなくて、「多様なあり方を応援する」という思想そのものがTHE COACH ICPのカリキュラムや事業を生み出している、という感覚に近い。こばかながTHE COACHを作り出し、ここにいてくれたことにはとても大きな意味があると思っています。
松浦:THE COACHに必要とされる「旗振り」は、問いを投げかけ続けることだと思っています。こばかなは自分では「旗振り役を担えなくなった」と言うけれど、実はわたしはそんな風に感じたことはありません。なぜならこばかなは、令和時代に生まれたわたしたちTHE COACHの役割とか、コーチングマインドを社会に広げることの意味とか、そういう問いを投げかけ続けてくれていたからです。
問いを投げかけ続け、あり方や方針を示し続けてくれたこと。これは今の時代に必要なリーダーシップの発揮の仕方でしたし、こばかながくれた問いがあるからこそ、それに向き合い続ける組織を作れたと思っています。
こばかな:たしかに、組織の作り方や浸透しているカルチャーみたいなものは、THE COACHならではのところがあったかもしれません。たとえば今回の退任の話も、一般的な感覚で言えば「もっと頑張れよ!」ってなると思うんですよね(笑)。でもTHE COACHはそういうリーダーシップもあると言ってくれ、わたしのありたい姿に一緒に丁寧に向き合い続けてくれました。この先もTHE COACHのそういあり方が続いていくといいなと思っているし、「個人の価値の発揮の仕方にはこういうものもあるんだな」「誰しもがリーダーシップを発揮できる可能性があるんだな」という面白い事例になっていってくれたらいいなとも思っています。
変わること、変わらないこと
——代表交代によって、変わること、変わらないことをそれぞれ教えてください。
岡田:当然ですが、代表取締役がこばかなから僕とひとみん(松浦)の共同代表になり、そちゃん(吉村)が取締役になるという構造的な変化はあります。あとは、THE COACHが「こばかな」という一人のリーダーが導く会社というところから、より経営も組織も多様なチームとなり、THE COACHがよりTHE COACHらしさを発揮していくという変化もありそうです。特定の誰か、ではなく、THE COACHという法人そのものがビジョンや哲学にもとづいて歩みはじめるイメージです。
松浦:それぞれの強みを生かして、より強固な組織になっていくだろうというのも変化のひとつかもしれません。おかちゃん(岡田)は哲学や思想について考えるのが得意で、わたしは構想や戦略を描くのが得意。そちゃん(吉村)は市場や組織の洞察力と具現化力が高くスタートアップでの経営経験もある。それぞれのバックグラウンドに起因した役割をまっとうすることで、THE COACHのビジョンを形にする体制の基盤が築かれた、という感じがしますね。
岡田:加えて、プログラム開発・組織開発・広報ブランディング・ファイナンスなどそれぞれの持ち場をリードしてきた人たちが、現場で見てきたものを社会に表現し始めるという違いも生まれると思っています。逆に変わらないこともたくさんありそうだけれど、ひとみんはどう思う?
松浦:組織のあり方として大切にしているところは、こばかながいたときと変わらず持ち続けたいと思っています。たとえば、「組織としてのこの活動が何につながっているのか」「自分の人生と今の仕事にどんな接点があるのか」と一人ひとりがTHE COACHに属している意味を考えるスタンス。また、トップダウン型で物事の意思決定をするのではなく、一人ひとりがTHE COACHに必要なことを考えて主体的に動ける組織のカルチャーも守り続けたいですね。
組織はこうあるべき、と定義づけてそこに向かっていくのではなく、さまざまな解釈ができる余地を残した形で組織運営を続けたいと思っています。そちゃん(吉村)はこのタイミングで新たに取締役としてジョインするけれど、どう感じている?
吉村:僕はTHE COACH ICPがβ版としてリリースされたときの「ゼロ期生」(初めての受講生)だったんですよね。当時は第三者に自分の想いを打ち明けることに過小評価バイアスのようなものがあったんですが、THE COACH ICPの場のあり方やマインドに感動して、あの感じが自分の中にずっと残っていて。いつか一緒に何かしたいと思い続けていたので、THE COACHに必要としてもらって、自分の価値を発揮できる場に来られたことをすごく嬉しく思っています。
吉村:コーチングマインドが聖火リレーみたいにいろんな人の手に渡っていく構想とか、THE COACHのような組織のあり方を広げていきたいとか、やりたいことはいろいろあります。でも正直それ以上に、ものすごくピュアな気持ちで、「一緒にやりたいから何も考えずにここに来た!」っていう感じが強い。そんな風にコーチングに心から魅力を感じてジョインしたからこそ、「THE COACHの掲げる思想が広がると社会が良くなる」っていうことは変えたくないし、絶やしたくないと思っています。そのために自分ができることだったら、なんでもやっていきたいですね。
コーチング業界とTHE COACHの未来
——これからのコーチング業界と、THE COACHについて教えてください。
こばかな:「こばかなさんはコーチングに未来はないと思っているからこの業界から離れるの?」と考える方ももしかしたらいるかもしれませんが、コーチング業界のこれからとわたしの退任に関連性はありません。コーチングの可能性はまだまだあるし、むしろ今後より大きくなっていくのではないかと思っています。
わたしがTHE COACHを立ち上げたきっかけのひとつに、生き方に不安を持っている人たちが答えを見つけられる手掛かりになりたいというものがありました。3年たった今もそれは解消されたわけではなく、生き方への不安や数値化できない生きにくさのようなものは増しているようにも思えます。これって、顕在化されていない日本の社会問題でもあるんですよね。
結局のところ、自分自身を幸せにできるのは自分です。自分の心に従って生きていったり、自分で自分の人生をとらえ直したりしていくことは、豊かな人生を歩んでいくためにますます必要になっていくはずです。そのために、コーチングマインド、コーチング的アプローチは有効だと思います。
コーチングの市場は今後も広がっていきますし、コーチングに「希望」を作る役割を、THE COACHは担っていけるのではないでしょうか。
松浦:「顕在化していない負」については、これまでこばかなと何度も話してきたところです。苦しいと声をあげるほどではないけれど、常に心にあるモヤモヤ、言い表せない感情みたいなものは、個人の中にも、組織の中にも増えています。
特にビジネスシーンにおいては、キャリアの流動性の高まりもあいまって、「自分は本当は何がしたいのか」「個の価値を組織でどう生かせばいいのか」を考える場面が増えています。そのため、コーチング的な関わりや組織開発におけるコーチング的なアプローチはさらに必要性が増していくと考えています。
今の時点でコーチングは何らかの負を減らしていると数字で語ることが難しいサービス特性ではありますが、一人ひとりが自分の人生や組織やチームと向き合いモヤモヤを解消したり、感受性を豊かにしたりすることを手助けし、社会や組織が優しくなるための一助となれるはずです。
岡田:成長・拡大期にあったかつての時代から、日本は今や物質的な豊かさから精神的な豊かさを求めるようなゆるやかな時代へと突入しています。時代に合わせて人の意識が変化することが求められる中で、コーチングは内面に向き合うために必要なインフラとなっていくと感じています。それらを、THE COACHが牽引していけたら嬉しいですね。
こばかな:経営のバトンを3人に渡したことで、THE COACHはよりTHE COACHらしく走り始めていると感じます。THE COACHをご利用いただいている方、これからTHE COACHを利用する方は、さらに期待していてほしいです。今はTHE COACHを利用したことの無い方も、引き続きTHE COACH、そしてコーチング業界の動向をウォッチしながら、そっと応援いただけると嬉しいです。
最後になりましたが、THE COACHに関わっていただいた皆さま、本当にありがとうございました。これからのTHE COACHも、どうぞよろしくお願いいたします。