2022年11月1日、株式会社THE COACHは、企業向けプラン「THE COACH for Business」をリリースしました。
これまでTHECOACHは、オンラインコーチングスクール「THE COACH ICP」やコーチングプラットフォーム「THE COACH Meet」など、個人を対象としてコーチングを提供してきており、企業向けのサービスを正式に発表するのは今回がはじめて。
ではなぜ、個人向けコーチングサービスを広げてきたTHE COACHが企業向けの組織開発プランを提供するに至り、どのような組織開発を行っていくのでしょうか。このnoteでは、そのような大きな問いをTHE COACH共同代表である松浦と岡田の二人に投げかけてみました。
「人の成長と良好な関係を耕す」THE COACH for Businessが企業に提供するもの
——まず、簡単にTHE COACH for Businessの概要を教えてください、
松浦:ひとことでいうと「コーチングを中心に置いた人材育成・組織開発のサービス」です。組織の課題にあわせて、プロコーチとの1on1コーチング、コーチングの学びを提供する研修、人の成長と良好な関係性醸成に寄与する組織開発のプロジェクト、この3つを組み合わせたサービスを提供します。
「コーチング・研修・組織開発を通じて、人の成長と良好な関係性を耕し、個人の力を組織の力に」、自律 “共創”型組織への移行を伴走していきます。
——「耕す」という言葉は、人材育成や組織開発のサービスであまり使われないように思います。この言葉を選んだ理由はありますか?
松浦:「耕す」という言葉には、一般的には「土を掘り起こす」「柔らかくする」といった意味があります。そして、THE COACHが人を考えるうえで前提としているのは、「人は本来持っている力がある」ということ。私たちが何かを与えたり、変えたりするのではなく、その人や組織が本来の力を引き出し、循環させるサービスでありたいという想いから「耕す」という言葉を使っています。
岡田:ひとみん(松浦)の言った通りで、THECOACHは人を道具としてみるのではなく、人を人としてみることを大事にしたいんです。
「よし!めっちゃいい人間作るぞ!!」といった人材育成ではなく、そこにある土を耕すことで自然と本来の力を発揮して育っていく畑のように、組織を耕すサービスを提供したい。イメージとしては、派手な変革屋ではなく、実直に耕す人なんですよね。
——なるほど。ですが、コンサルに依頼したり、組織開発を外部に発注したりする際には、変革を求める組織が多いように思います。その点はいかがですか?
松浦:たしかにそうですね。ただ本来、組織の原動力は「人」であり、人と人との「関係性」です。そのため、外部が引き起こした変革によって一時的に成果が現れたとしても、人や組織自体が力を発揮できる環境が整っていなければ持続性はないと考えています。
そのため、THE COACH for Businessでは人や関係性に向き合うことで、心理的安全性の高い組織を耕し、一人ひとりのリーダーシップの発揮を支援する、自律 “共創” 型組織への移行を伴走していきます。
個人が力を発揮でき、個人間で関係性が育まれていれば、組織は自然にいい方向に流れ、そこで生まれる成果は持続的なものになると確信しているからです。
岡田:これは僕のイメージなんですが、一般的なコンサルティングは西洋医学のようなものだと感じています。客観的なアセスメント、診断を行ったうえで、医者のような第三者が投薬・手術し治療していくものだと。
対して、THE COACH for Businessで行いたいのは東洋医学と西洋医学を統合したようなものです。アセスメント・診断はするのですが、その後のコーチングや研修は、漢方薬のようにじわじわとその人や組織本来の力を引き出し関係性を育てるもの。畑が育つように、持続的に無理なく自然に組織をサポートできればと思っています。
「自分を理解し、他者との関係性を育み、組織の力に」コーチングと組織開発の相互作用について
——「自律 “共創” 型組織」に移行するために、THE COACH for Businessが提供するコーチング・研修・組織開発は、どのように機能するのか教えてください。
松浦:まず、自律 “共創” 型組織に移行するためには、メンバーの自己理解、そしてメンバー同士の他者理解を深め、対等に対話できる関係性を築くことが鍵となります。
THE COACHが行うコーチング・研修・組織開発は、それらを進めるためのもの。コーチングと研修は、自分自身を理解し、自分らしいリーダーシップ(自主自律性)につなげていくため。研修と組織開発は、関係性を耕し、パーパスにつながった組織になるため。どれもが相互に関連しているため、明確に分けることはできませんが、コーチング、研修、組織開発を包括的にサービス提供していくことを通じて、個人の力を、組織の力につなげていきます。
——関係性を築くために、自己理解を深める必要があるのはなぜでしょうか?
松浦:人や組織の関係性が深まっていく段階には、大きく3つの段階があるとTHE COACHでは考えています。その第一段階は、「個人の想いが無い」段階。一人ひとりが自分が何をやりたいのかもわからない、ただ組織に属していて、上司の意見に合わせたり、当たり障りのない意見を言っていたりするだけで、「個人の力」が発揮できない状態です。
岡田:そこから一歩前進するためには、まず自分を理解するっていうのがポイントになるんですよね。1on1のコーチングで自分だけに焦点を当てて、自分が何を求めているのかを考える。自分の願いや感情に気づくことではじめて、「個人の力」を出せる状態になります。
そもそも他者理解は、自己理解のうえに成り立つもの。自分を知ることは、他者との関係性が育つ最初のとっかかりになります。そのため、THE COACH for Businessでは自己理解からはじめます。
——なるほど。コーチングを通して個人が自己理解を深めたあと、組織はどのようなフェーズ・段階になるのでしょうか?
岡田:メンバー一人ひとりの自己理解が深まり、「個人の力」を発揮しはじめたときにまず起こるのは、個人同士のぶつかり合い。「私はこうしたい」「私はこうしたい」と対立していきます。
松浦:これがセカンドフェーズの「個人の想いが組織のパーパスを上回る」段階。一人ひとりの声が強く、組織がバラバラになる段階です。多くの人や組織は、ここで対立に疲れ「あの人には何を言っても意味がない」とファーストフェーズに戻ってしまいます。でも、対立するセカンドフェーズの先には必ず、人がつながっていくサードフェーズがあります。
岡田:これが、自分の想いや感情を主張しつつ、相手の立場になって考えられるようになる段階です。対立するなかで、相手が大事にしている想いが自分のなかに入ってくる。結果的に、自分が主張していたAの意見と、相手が主張していたBの意見から生まれたCというより高次のアウトプットが生まれやすくなる。
松浦:それが私たちが考える「自律 “共創”型組織」、「個人の願いと組織のパーパスがつながっている」段階です。この段階では、一人ひとりが「この組織だからこそ成し遂げられることがある」「このチームだからこそ実現できる世界観がある」と実感し、それぞれが主張し、相手と対話し、共創しあえるようになると思っています。
岡田:自律 “共創”型組織に移っていくときには、相手の立場になって対話する必要があります。ですが、対話に慣れていない組織では、分断や妥協が起きてしまうことが多いんです。組織には、実は「声にならない声」というのが多く存在し、このフェーズでは「おもっているけど言えていない」個人の声を組織が聴いていくことが重要です。
そこでTHE COACH for Businessが、安心して声を出しやすい対話のプロセスと場づくりを通して、分断や妥協の先のフェーズに移るサポートができればと考えています。
岡田:チームだから、組織だから、誰かとともにだから。一人じゃないからこそ実現できる価値を発揮できるチームになるために、関係性を耕すことで個人の力が単純な足し算ではなく、掛け算になって組織の力になる。それが、THE COACH for Businessで目指す世界観です。
松浦:ひとつ補足すると、ここまでお話してきた「3つのフェーズ」は、必ずしも順番に段階を踏んでやってくるわけではなくて、何度も循環して繰り返していくものなんです。ファーストフェーズが半年、セカンドフェーズが半年、というものではなく、小さく繰り返された結果つながりがより強固になっていきますし、組織としてつながった先に自分の想いがさらに出てくるということもあります。
THE COACH for Businessが適している組織とフェーズ
——「自律 “共創” 型組織」への伴走を行うTHE COACH for Businessは、どんな組織に向いていると考えていますか?
岡田:変化期にある組織には、支援できることが多いと思います。たとえば、少人数で運営する時期を終え、メンバーが増えてきた企業やチーム。これまではがむしゃらに合理的にやってきて上手くいっていたけれど、人数が増えてからは人が定着せず辞めてしまう組織。
このような、組織の精神的な部分や人のつながりの部分で限界を感じられている組織、これからどんなビジョンを描くか未来を作り出していくか悩んでいる組織には、さまざまな文脈からサポートできると思います。
松浦:これから変わろうとしている、新たに生まれようとしているときは、人や関係性が育まれていると土台が盤石となって、より大きく進化できるので、変化をしようとしているチームには適していると思いますね。
あとは、「これまで成果重視でやってきたけど、あまり上手くいかない」と課題意識をもち始めた組織にもフィット性が高いと思います。
逆にTHE COACH for Businessが向いていないのは、短期的な成果や数値目標だけを求める組織ですね。成果や数値目標は当然必要ですが、その実現だけを求めて、人や感情はいまはどうでもいい!という組織には、THE COACH for Businessが提供するものは合わない気がします。
岡田:ただ、コーチングだけ、研修だけという単体での提供も可能ですし、組織課題にあわせて提供内容もカスタマイズするので、比較的いろんな組織の「人と関係性」の課題をサポートできるサービスだと思います。
なぜコーチングの会社が組織開発を行うのか。THE COACHが目指したい世界
——最後に、これまで個人向けコーチングサービスやコーチングスクールを運営していたTHE COACHが、なぜ組織開発を行おうと思ったのか。その理由を聞かせてください。
松浦:THECOACHが創業して2年、個人向けコーチングサービスやコーチングスクールに注力してきましたが、実は過去にも、コーチングスクールの受講生から「会社でもコーチングしてほしい!」と問い合わせを受けることがあり、要望があった企業には提供していたんです。
実際、サービスを提供した企業には満足いただいて、お声がけをいただくことも増えてきました。サービスとしてちゃんとリリースすることが社会に還元することにつながると感じ、今回の正式リリースに至りました。
岡田:あとは、組織や社会自体にコーチングマインドをひろげたいと感じたこともTHE COACH for Businessをリリースした理由のひとつです。
これまでコーチングスクールを運営するなかで、受講生から「スクールで大切なものに気づいた感じがするけれど、日常の戻ったときのギャップが苦しい」と感想をもらうこともあって。個人が変わっても周りとの関係性が変わらなければ、コーチングマインドを発揮しにくいのではと考えるようになりました。これまでは個々人として豊かな人生を選択できるようにとサポートをしてきましたが、コーチングマインドに根ざした本質的な変化を求めるならば、組織そのもの、環境そのものを支援していくことも必要だと感じたんです。
また、抽象的な話になりますが、個人も法人もアプローチの仕方は近いと思っています。なぜなら、どちらもその存在固有のパーパス、目的、存在意義があって、そのために生きていると思うから。組織にも性格があるし強みがあり夢がある。個人と同じように、それを見つけるサポートができるのはやりがいがあります。
声を聴く。対象が個人でも法人でもそこは変わらないので、法人に提供することに違和感はありませんでした。
松浦:THECOACHは、ほぼコロナ禍に始まった企業で、いまでもフルリモートで運営している組織です。正社員からフリーランスまでさまざまなメンバーがいて、働き方も多様です。私も、生まれたばかりの0歳の息子を抱えて経営メンバーとして参加したので、今思えばそれも多様な働き方のひとつですよね。
そして、いろんな苦労もありながらも私たちは2年間事業をやってきました。そのなかで、人が想いを持つことと、想いをもった人たちと耕された関係性を築くこと、その二つの状態がもたらす、しなやかで強い自律 “共創”型組織」の効果を感じました。
一人ひとりがライフステージに合った働き方を実現しやすく、自分が自分らしく働ける感覚がある。ウェルビーイングという言葉にあたるような、心地よく働くみたいなことが実現できる組織運営を体感できています。
今後は、より個人の多様性がひろがる社会になると感じています。そのなかで、求められるのは、個人がもつ多様性を発揮できる自律 “共創”型組織なのではないかと思うんです。私たちは、組織が「自律 “共創”型組織」に移ろうとする際に、そして持続していく際に、コーチングと組織作りのノウハウを活かしていきたいと思っています。
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THE COACH for Businessは、「個人の力を、組織の力に。」をコンセプトに、1人1人の力を引き出し組織としてのつながりを生み出す、自律 “共創” 型組織への移行を伴走する、人材育成・組織開発のサービスです。
コーチング、研修、組織開発の3つのアプローチを、組織の課題に合わせて完全カスタマイズ型で提供しています。このサービスを提供するうえで大切にしている想いは2つ。
1.組織の原動力は人
人が、事業を創り、文化を生み出し、ビジョンを実現する。1人ひとりの想いと可能性を引き出すことこそが、組織の力そのものになるということ
2.「関係性の質」が持続的な成果を生む
①が発揮されるためには、昨今良く耳にする心理的安全性の高いチームであることが重要です。関係性の質が高まれば、チームは創造性にあふれ、持続的な成果へとつながると、そう考えています。
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