コーチングを学び始めた方なら誰もが、「どんな質問を問いかければ良いのだろう」といった不安を抱いたことがあるでしょう。「せっかくクライアントが話してくれる貴重な機会なのに、的確な質問ができず、相手の可能性を十分に引き出せないかもしれない。」と心配していませんか?
効果的な質問や問いには、明確なパターンとコツがあります。セッションの流れに沿って適切な「問い」を活用することで、クライアントの気づきと行動を促すことができます。
この記事は、コーチングセッションで実際に使われている問いかけのテクニックや質問例をご紹介します。コーチングの問いのスキルを高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
なお、THE COACH ICPでは、コーチングの問いのスキルをはじめとして、コーチングに必要なスキルをプロコーチから体系的に学べます。資格取得やプロコーチとして活躍するためのサポートも充実しています。
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これからコーチングセッションを始めようとしている方は、「どんな質問を問いかければ良いのだろう?」と不安を感じていませんか?
コーチングでは、クライアントの可能性を最大限に引き出すために、「答えは相手の中にある」ことを前提とした質問の仕方をします。例えば、「自分はこう考えますが、あなたはどう思いますか?」とコーチの考えを当てはめるのではなく、「どうしてそう思ったのですか?そのように考えるきっかけとなったことはありますか?」とクライアントの考えや感情を問いかけることで、クライアントは自然と自分の内側にある答えに気づくことができます。
なお、コーチング業界では一般的に「問い」という言葉を使用しますが、本記事では初めてコーチングを学ぶ方にも親しみやすいよう、ここからはあえて「質問」という表現を使って説明していきます。
コーチングで使う質問の種類
コーチングで効果的な質問をするために、まずは7つの基本的な質問パターンを理解しましょう。質問パターンを使い分けることで、クライアントの気づきを促し、行動を引き出せるようになります。
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンとは、クライアントの思考を広げ、深い気づきを促す質問です。「今の状況をどのように感じていますか?」「どんな未来を思い描いていますか?」といった5W1Hを使った質問で、「はい」「いいえ」では答えられない形になっています。
オープンクエスチョンの特徴は、クライアントが自由な発想で答えられることです。特に「どのように」「何を」から始まる質問は、相手の考えを引き出すのに効果的です。
ただし「なぜ」という問いは、理由や原因を追及するニュアンスが強いため、使用には注意が必要です。コーチングでは、クライアントの答えの可能性を広げることが大切なので、オープンクエスチョンを多用します。
クローズドクエスチョン
クローズドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」で答えられる質問です。「その方向性で進めたいですか?」「来週から始められそうですか?」といった具合に、クライアントの選択肢が限定される形になります。
一見、クライアントの思考を狭めてしまうように思えるかもしれません。しかし、クライアントの意思を明確にしたり、行動の決意を促したりする場面では非常に効果的です。
また、セッション初期の信頼関係構築時には、答えやすいクローズドクエスチョンを使うと、クライアントが安心して話せる雰囲気を作りやすくなります。ただし、使いすぎると対話が単調になってしまうので、適度な使用を心がけましょう。
サトルクエスチョン
巧みな問いかけによって、クライアントの本音を自然に引き出す質問技法です。「もし、誰にも否定されることがないとしたら、どうしたいですか?」「完璧な答えを出す必要はないとしたら、今どんなアイデアが浮かびますか?」といった形で投げかけます。
サトルとは「繊細な、微妙な」という意味です。直接的な質問では引き出せない深い思いや、クライアント自身も気づいていない本当の願いを、さりげなく浮かび上がらせられます。
ただし、使い方を誤るとクライアントを誘導してしまう危険もあるため、信頼関係が築けてから使うことをおすすめします。相手の反応を見ながら、慎重に進めることが大切です。
未来質問
未来質問とは、「半年後、どんな状態になっていたいですか?」「目標が達成できたとき、どんな気持ちでいそうですか?」など、クライアントの望む未来に焦点を当てる質問です。
未来質問の特徴は、クライアントの可能性を広げ、前向きな行動を促すことができる点です。
過去の失敗や現在の制限にとらわれがちな思考から解放され、新しい選択肢を見つけられます。特に、行き詰まりを感じているクライアントに対して効果的です。理想の未来をイメージすると、そこに向かうためのモチベーションが自然と高まっていきます。
過去質問
過去質問とは、「以前、似たような状況をどのように乗り越えましたか?」「そのときに力になったことは何でしたか?」といった、過去の経験から学びを得る質問です。過去質問は使い方を誤ると、クライアントを後ろ向きにしてしまう危険があります。
しかし、過去の成功体験を想起させたり、乗り越えてきた経験から学びを得たりする目的で使うと、とても効果的です。単に過去を振り返るだけでなく、その経験をこれからどう活かせるかという視点で問いかけると、クライアントの自信につなげられます。
肯定質問
肯定質問とは、「どんな強みを活かせそうですか?」「これまでに成功した経験の中で、今回に活かせることはありますか?」など、クライアントの可能性や強みに焦点を当てた質問です。肯定質問の特徴は、クライアントの前向きな気持ちを引き出し、自己肯定感を高められる点です。
多くの人は自分の弱みには敏感ですが、強みには意外と気づいていないものです。「うまくいった要因は何ですか?」「仕事の楽しみややりがいはどんなことですか?」といった質問を通じて、クライアントが持つ可能性に気づくきっかけを作れます。そうすることで、自然と行動への意欲が高まっていきます。
否定質問
否定質問は、「なぜできないと考えたのですか?」「どうして諦めようと思うのですか?」といった、理由や原因を問う質問です。否定質問は、使い方を誤るとクライアントを追い詰めてしまう危険があるため、コーチングではあまり推奨されません。
しかし、信頼関係が十分に築けている場合、克服すべき課題を明確にする目的で慎重に使うことはあります。その場合でも、「できないと考えた理由を知ったうえで、どうしたらできそうですか?スモールステップに分けてみるとしたら何ができそうですか?」というように、建設的な方向に展開していくことが重要です。
コーチングにおける効果的な質問リスト
コーチングセッションの流れは、決まっているわけではありませんが、一例を挙げると下記のような流れで進められます。
- チェックイン
- テーマ設定
- 気づき
- ネクストアクションの設定
- 振り返り
ここからは、それぞれの段階で活用できる具体的な質問例をご紹介します。ただし、紹介する質問は、あくまでも参考例です。実際のセッションでは、クライアントの状況に応じて、柔軟にアレンジしていくことが大切です。
1.チェックインでの質問例
セッションの始まりでは、クライアントがリラックスして本音で話せる環境を作ることが大切です。まずは軽めの会話から始めることで、自然と対話の流れを作っていきます。
【効果的な質問例】
- 今日はどんな気持ちでいらっしゃいましたか?
- 最近、嬉しかったことはありますか?
- この1週間で印象に残っていることを教えていただけますか?
- 今の気持ちを例えるとしたらどんなお天気ですか?
- 今日のコンディションはいかがですか?
- セッションの前に、気になることはありますか?
- 通勤時、何か面白いものは見かけましたか?
- 休日はどのように過ごされましたか?
- 新しく始めたことはありますか?
2.テーマ設定での質問例
クライアントが何を話したいのか、どんなテーマに向き合いたいのかを明確にする大切な時間です。ここでの質問は、ありたい姿や悩みの本質などを引き出すことを意識しましょう。
【効果的な質問例】
- 今日はどんなことを話したいですか?
- 今、どんなことが気がかりですか?
- このセッションで何を得たいと思われますか?
- 今、一番優先度が高いと感じていることは何ですか?
- 理想の状態に対して、現在に点数をつけるとしたら何点ですか??
- どんな変化を望んでいらっしゃいますか?
- 今日のセッションが終わったとき、どういう状態になっていたいですか?
- 最近、うまくいっていないと感じるものはありますか?
- 今日、向き合いたいテーマは何ですか?
- どんなことにチャレンジしたいと考えていますか?
3.気づきの時間での質問例
クライアントが話したいテーマや抱えている問題に対して、視野を広げ、新たな気づきを促す大切な時間です。この段階では、できるだけ多くの可能性を探り、クライアントが本当に望むことを明確にしていきます。
【効果的な質問例】
- 理想の状態を、具体的に教えていただけますか?
- もし魔法が使えるとしたら、どんな状態にしたいですか?
- 周りの制限が一切ないとしたら、何をしたいですか?
- その状況で、あなたは何を大切にしたいですか?
- 達成できたら、どんな気持ちになれそうですか?
- その中で、特に心が躍るものはどれですか?
- 実現できた自分を想像すると、どんな表情をしていそうですか?
- 誰かに応援してもらえるとしたら、誰に何を手伝ってもらいたいですか?
- 過去の経験の中で、活かせそうなものはありますか?
- これが実現したら、周りにどんな良い影響を与えられそうですか?
4.ネクストアクションの設定での質問例
具体的な一歩を設定する重要な段階です。クライアントが無理なく始められる、実現可能なアクションを引き出すことを意識しましょう。
【効果的な質問例】
- まず、どんな行動から始めてみたいですか?
- いつから始めるのが良さそうですか?
- その行動を継続するために、何があると助かりそうですか?
- 行動を10段階で表すと、どのレベルから始めたいですか?
- 週に何回くらいなら続けられそうですか?
- 誰かに共有することで、モチベーションが上がりそうですか?
- どのくらいの期間で、最初の成果を感じたいですか?
- 行動を習慣にするために、何か工夫できそうですか?
- もし途中でつまずいたら、どうサポートしてもらいたいですか?
- その行動の達成度は、どうやって測りたいですか?
5.振り返りでの質問例
セッションの最後に行う振り返りは、対話を通じての気づきや学びを定着させる大切な時間です。コーチとクライアントの間で認識のズレがないかを確認し、次回に向けての示唆も得られます。
【効果的な質問例】
- 今日のセッションで、どんな気づきがありましたか?
- 新しく見えてきたことは何かありますか?
- 今日の対話の中で、特に印象に残っていることは何ですか?
- 目標に対する意欲は、セッション前と比べてどう変化しましたか?
- もし今日と同じような状況になったとき、どう対応できそうですか?
- 次回までに、私からどんなサポートがあると嬉しいですか?
- 今日決めたアクションに対して、不安なことはありますか?
- このセッションで得られた学びを、どう活かしていきたいですか?
- 次回のセッションでは、どんなことを話し合いたいですか?
コーチングでの質問力を高めるコツ
質問力を高めることは、コーチとしての成長に欠かせません。ここからは、効果的な質問をするための4つの重要なコツをお伝えします。4つのポイントを意識することで、クライアントの可能性を最大限に引き出せる質問ができるようになります。
相手の立場で傾聴する
「良い質問をしなければ」という思いが強すぎると、かえって効果的な質問ができなくなってしまいます。なぜなら、その意識が強いときほど、実は自分自身に意識が向いているからです。
まずは、クライアントの話に純粋な関心を持って、耳を傾けることが大切です。相手の表情、声のトーン、話すスピード、使う言葉など、言葉以外のメッセージにも注意を向けましょう。そうすることで、クライアントが本当に伝えたいことが見えてきます。そこから自然と、次の質問が浮かんでくるはずです。
シンプルな質問を心がける
「〇〇についてどう考えているのか、それは△△とどう関係していると思うのか、教えていただけますか?」といった複雑な質問をされたら、あなたはどう感じるでしょうか。答えにくいと感じる方が多いはずです。
質問は、シンプルであればあるほど、クライアントは自分なりの解釈ができ、深い答えを引き出せます。時には、クライアントの言葉をそのまま問い返す「〇〇ということですか?」といったシンプルな問いかけが、新たな気づきを生むこともあります。質問はシンプルに、明確に問いかけることを心がけましょう。
クライアントの発言を明確化する
クライアントから「うまくいかなくて」「なんとなく難しくて」といった漠然とした発言があったとき、そのまま流してしまっていませんか?実は、クライアント自身も具体的に何が「うまくいかない」のか、何が「難しい」のか、明確にできていないことが多いのです。
このようなとき、「具体的には、どんなところがうまくいかないと感じていますか?」「難しいと感じる場面を、教えていただけますか?」と掘り下げることで、問題の本質が見えてきます。この「チャンクダウン」と呼ばれる具体化の質問は、クライアントの気づきを深める効果的なテクニックです。
質問攻めはしない
「なぜそう思うんですか?」「こうしたらどうですか?」「他に方法はありませんか?」と、質問を立て続けにすると、クライアントは尋問されているような不快感を覚えます。その結果、防衛的になり、本音を話せなくなってしまいます。
大切なのは、クライアントの答えに十分な余白を持たせることです。ひとつの質問の後は、しっかりと間を取り、クライアントが十分に考え、話せる時間を確保しましょう。時には沈黙も、クライアントの深い気づきを促す重要な要素となります。
質問力以外にも、コーチングに必要なスキルは下記のページで詳しく紹介していますので、併せて参考にしてください。
コーチングに必要な5つのスキルは?スキルを高めるコツや具体的なトレーニング方法を解説
コーチングを本格的に学ぶならTHE COACH ICP
質問の種類や使い方を知ることは、コーチングスキルを高める第一歩です。しかし、真に効果的なコーチングを実践するには、より深い学びと実践が必要です。
THE COACH ICPでは、ICF認定資格を取得したプロコーチによる実践的な指導を通じて、質問力はもちろん、コーチングに必要な全てのスキルを体系的に学ぶことができます。オンラインで学べる環境も整っており、働きながらでも本格的なコーチングスキルを身につけることが可能です。
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THE COACH ICP 公式サイトへTHE COACH ICP受講生の体験談を紹介
ここからは、THE COACH受講生の体験談を紹介します。コーチングを学ぶことで、どのように理想の生き方・働き方を手に入れたのか詳しく見ていきましょう。
THE COACH ICP™︎で学び、医療職から、ライフコーチとして独立。時間的にも金銭的にも自由な生活を手に
THE COACH ICP™︎には、「正解のないテーマに対して、自分の悩みを解決したい」「もっと、自分らしく生きれるようになりたい」など自分が望む人生を歩むために受講される方が多くいます。
今回お話を伺ったたけち みりさんも、「自分らしく生きる人を増やすサポートがしたい」と、THE COACH ICP™︎で学び、ライフコーチとして独立。
当初は、本業である医療現場に関わりながら、副業としてコーチをやろうと思っていたところ、徐々に「コーチングって、おもしろすぎる!」とのめり込んでいったそう。THE COACH ICP™︎ですべてのコースを学び、卒業と同時に医療職からコーチへ転身し独立されました。前職よりも時間的にも金銭的にも自由な生活を手にすることができているそうです。
メンバーの話を本当の意味で聴けるように。THE COACH ICP™︎受講後、マネジメントに起きた変化
THE COACH ICP™︎には、「組織づくりに役立てたい」「メンバーとの1on1の時間をより充実させたい」などマネジメントの現場で活かすために受講される方が多くいます。
今回お話を伺った若林 真悟(わかばやし しんご)さんも、コーチングの考え方をご自身のマネジメントスタイルに取り入れるため、THE COACH ICPヘいらっしゃいました。マネージャーに就任後、マネジメントにコーチングを取り入れてみようと独学で学ぶものの、本で学ぶだけで現場に活かすのは難しいと思い、受講を決意。
いざコーチングを学びはじめると、これまでの自分はメンバーの話を全然聞けていなかったんだと実感したそう。
受講後は以前から行っていた1on1の質に変化が起き、今ではメンバーを信じて素直に任せられるようになり、チームとしての生産性も向上したそうです。
プロコーチを目指していなくても、コーチングを学ぶ意味はあるのか
「コーチングの学びは、仕事にどう活きる?」「プロコーチを目指していない人が、コーチングを学ぶ意味はある?」という疑問をお持ちの方へ。
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